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むかしむかし、ある村に優しい男の子がいました。その子の名前は太郎といいました。
ある寒い冬の日、太郎は山道を歩いていました。すると、雪の中で「キュー、キュー」と弱い声が聞こえました。見てみると、一羽の美しい鶴が網にかかって困っていました。
「かわいそうに。助けてあげよう」
太郎は優しく鶴を抱き上げ、丁寧に網を外してあげました。鶴の足も傷ついていたので、家に連れて帰って、温かいお粥をあげたり、毎日お水をあげたりして、一生懸命お世話をしました。
数日後、鶴の足はすっかり治りました。すると、鶴は大きく羽を広げて、太郎に一度頭を下げると、空へ飛び去ってしまいました。
太郎は少し悲しかったけれど、「元気になって良かった」と思いました。

その夜のこと。太郎の家に、きれいな女の子がやってきました。
「太郎さん。私は、助けてくれた鶴です。ずっと恩返しがしたかったのです。これからは、ここで働かせてください」
女の子の名前は「つる子」といいました。つる子は、とても美しい布を織ることができました。
「ただし、一つ約束があります」つる子は真剣な顔で言いました。「布を織っている間は、絶対に部屋の中を見てはいけません。もし見たら、私はここを去ってしまいます」
太郎は「わかりました。約束します」と約束しました。
つる子は毎日、部屋の中で布を織りました。その布は、本当に美しかったのです。光に当たるとキラキラと輝き、色も鮮やかで、町中の誰もが欲しがるほどでした。

太郎は布を売ってお金にして、毎日の生活ができるようになりました。
しかし、ある日のこと。太郎は、つる子の部屋がどうなっているのか、どうしても見たくなってしまいました。
「ほんの少しだけ...」
太郎は約束を破って、部屋のドアを開けてしまいました。すると、驚いたことに、つる子は本当の鶴の姿に戻っていて、自分の羽を抜いて、その羽で美しい布を織っていたのです。
つる子は悲しい顔で太郎を見つめました。
「約束を破ってしまいましたね。残念です。さようなら」
そして、つる子は再び大きな鶴に戻ると、空へ飛び去ってしまいました。
太郎は自分の間違いを深く反省しました。誰かが親切にしてくれたら、その気持ちに応えることが大切。そして、約束したことは、絶対に守らなければいけない。太郎はそのことを、生涯忘れることはありませんでした。
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