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ある秋の日のこと。ゆきなちゃんの家族は、十五夜のお月見をすることにしました。
「今夜は一年で一番大きくて、一番美しいお月様が見えるんだよ」お母さんが言いました。ゆきなちゃんは目をきらきらさせました。
おばあちゃんは台所で、やさしく白いお団子を作ってくれました。ころころとした丸いお団子。十五個。すすきも飾りました。秋の風は、すすきをふわふわと揺らします。
「ねえ、おばあちゃん。お月様には誰が住んでいるの?」ゆきなちゃんが聞きました。
おばあちゃんは、にっこり笑いました。「昔からね、お月様にはうさぎさんが住んでいるんだよ。そのうさぎさんね、毎日毎日、おもちをついているんだって。ぺったん、ぺったんとね」

「わあ!うさぎさんだ!」ゆきなちゃんは空を見上げました。
夜がやってきました。庭にござを敷いて、家族みんなで座りました。お父さん、お母さん、おばあちゃん、そしてゆきなちゃん。
そしてその時...月が上りました。
キラキラとした光に包まれた、大きな大きなお月様。黄金色に輝いています。その中には、ぼんやりとうさぎの姿が見えるような...見えないような...
「あ!うさぎさん!見える!見える!」ゆきなちゃんが指さしました。

お団子を一つ食べました。ふんわり甘い。秋の空気と、おばあちゃんの愛情が詰まった味がします。
「うさぎさん、見てる?」ゆきなちゃんがつぶやきました。「ここで、お団子を食べてるよ。一緒にお月見してるよ」
お月様は、いつも通り静かに輝いていました。でも、その光はとても温かくて、とても優しくて。
家族は一緒に、笑いながらお団子を食べました。秋の風が頬をなでます。すすきが揺れます。そして、お月様はずっと見守っていました。
この夜は、ずっと忘れられない特別な夜になりました。ゆきなちゃんは思いました。来年も、またこの時間が来るんだ。また家族とお月見ができるんだ。うさぎさんにも、また会えるんだ。
お月様のうさぎさんは、今夜も幸せな家族を見守っていました。そして明日も、毎日毎日、おもちをついているのです。
秋の夜は、とてもとても美しいのでした。
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